「都会の空ではどうしても星が霞んでしまう」――そんな週末を変えてくれるのが、思い切って一泊する星空遠征です。この記事では、光害の少なさ・標高や見晴らし・天気や気候・アクセスや宿泊のしやすさという4つの基準で選んだ、本州の天体観測スポット10か所と、近くの宿泊候補をあわせてご紹介します。
観測地選びで押さえておきたいポイント
星空ログでは、以下の4つの基準をもとに今回の10スポットを選びました。光害の少なさ、標高・見晴らし、天気・気候の傾向、宿泊を兼ねたアクセスのしやすさの4つの尺度でチョイス。満天の星空を楽しむために欠かせない条件を確認しましょう。
光害の少なさ
環境省や自治体が「星空観察に適した場所」として案内・認定しているか、周辺に強い照明がないか
標高・見晴らし
標高が高く雲や靄の影響を受けにくいか、開けた方角が多いか
天気・気候の傾向
年間を通じて晴天率が高いか、逆に雨や雲が出やすい時期がないか
アクセス・宿泊のしやすさ
公共交通機関や車で無理なく行けるか、近くに宿泊できる場所があるか
泊まってでも行きたい天体観測スポットをピックアップ!
北は福島県から、南は山口県までの本州の中で、10スポットをピックアップ。浄土平(福島県)、奥多摩湖(東京都)、堂平天文台(埼玉県)、県立ぐんま天文台(群馬県)、野辺山高原(長野県)、阿智村(長野県)、大台ヶ原(奈良県)、西はりま天文台(兵庫県)、美星天文台(岡山県)、秋吉台(山口県)の大まかな位置関係は下図になります。

本州で泊まってでも行きたい天体観測スポット10選
天体観測のためには、光害の少なさや高い標高などが欠かせません。逆を言えば、人里から少し離れている場所になります。だからこそ、アクセスするには宿泊を検討することも必要。ゆっくりと天体観測を楽しむために必要なオススメの宿泊先とあわせて全国から選りすぐった天体観測スポットを紹介します。
01|浄土平(福島県)

磐梯朝日国立公園内、標高約1,600mに広がる湿原地帯で、周辺に強い照明がないため夜は満天の星が広がります。園地内の浄土平天文台では夏を中心に夜間開館日が設けられ、望遠鏡を使った本格的な観測も体験できます。「標高・見晴らし」と「光害の少なさ」の両方の基準を満たす、東北を代表する星空スポットです。
- オススメ宿①:高湯温泉 旅館 玉子湯
- オススメ宿②:野地温泉ホテル
02|奥多摩湖(東京都)

東京都内でありながら周囲を山に囲まれた人造湖で、都心の明かりから離れているぶん23区内よりもぐっと星が見やすくなります。新宿から車や電車で2時間ほどとアクセスも比較的容易で、「思い立ったらすぐ行ける」都民向けの星空スポットとして人気です。「アクセス・宿泊のしやすさ」を重視する方に特におすすめの1か所です。
- オススメ宿①:やすら樹の宿 ねねんぼう
- オススメ宿②:氷川郷麻葉の湯 三河屋旅館
03|堂平天文台(星と緑の創造センター)(埼玉県)

かつて東京大学東京天文台の観測所として使われ、口径91cmという当時国内トップクラスの反射望遠鏡を有していた施設です。2005年からはときがわ町営の宿泊・キャンプ施設「星と緑の創造センター」として生まれ変わり、月に数回、この本格的な望遠鏡を使った観望会に参加できます。星を「見る」だけでなく「学べる」施設が近い点が魅力です。
- オススメ宿①:休暇村 奥武蔵
- オススメ宿②:名栗温泉 大松閣
04|県立ぐんま天文台(群馬県)

標高約900mに位置する公開天文台で、肉眼で直接のぞける望遠鏡としては世界最大級となる口径150cmの反射望遠鏡を備えています。周辺に大きな灯りがなく「光害の少なさ」の基準を高いレベルで満たしていますが、天文台自体に宿泊施設はないため、最寄りの四万温泉エリアに宿を取っておくのがおすすめです。
- オススメ宿①:湯の宿 山ばと
- オススメ宿②:積善館
05|野辺山高原(長野県)

標高1,350mの高原地帯で、国立天文台 野辺山宇宙電波観測所のシンボルである45m電波望遠鏡があることでも知られています(ミリ波観測用としては世界最大級)。「標高・見晴らし」の条件が良く、周辺の宿の中には毎晩星空観察会を開催しているところもあり、「アクセス・宿泊のしやすさ」の面でも充実しています。
- オススメ宿①:八ヶ岳グレイスホテル
- オススメ宿②:八ヶ岳高原ロッジ
06|阿智村(昼神温泉)(長野県)

2006年、環境省が全国で実施した星空継続観察調査で「日本一星が輝いて見える場所」に認定された、全国的にも知名度の高い星空スポットです。標高1,400m地点までロープウェイで登る「天空の楽園ナイトツアー」が名物で、2019年には同時天体観測の参加人数でギネス世界記録にも認定されました。「光害の少なさ」で全国トップクラスの実績を持つ、遠征先として外せない1か所です。
- オススメ宿①:昼神の棲 玄竹
- オススメ宿②:天然温泉 阿智 星降りの宿 やま星
07|大台ヶ原(奈良県)

年間降水量3,000〜3,500mmという、屋久島と並ぶ国内有数の多雨地帯として知られる山岳エリアです。晴れた夜に恵まれれば標高1,600m超からの澄んだ星空を楽しめますが、天候リスクが高い点は事前に押さえておきたいポイントです。日程に余裕を持たせ、天気予報を直前までチェックしておくことをおすすめします。
- オススメ宿①:フォレストかみきた
- オススメ宿②:洞川温泉 行者の宿 角甚
08|西はりま天文台(兵庫県)

口径2mの「なゆた望遠鏡」を有し、一般の来館者が実際にのぞける公開望遠鏡としては日本最大・世界最大級という設備が自慢の天文台です。標高が高く周辺の光害も少ないため「光害の少なさ」「標高・見晴らし」の両基準で優秀な一方、天文台周辺の宿泊施設はやや少なめです。宿選びに融通を利かせられる方向けのスポットといえます。
- オススメ宿:佐用スターリゾート ゴルフ&スパ
09|美星天文台(岡山県)

「美しい星の町」を意味する美星町にある公開天文台で、口径101cmの反射望遠鏡を備えています。この町は1989年に日本で初めて光害防止条例を制定した先駆けで、2021年には国際ダークスカイ協会からアジアで初めてとなる「星空保護区」(コミュニティ部門)にも認定されました。「光害の少なさ」において国内でも屈指の実績を持つエリアです。
- オススメ宿①:the view 瀬戸内
- オススメ宿②:ホテルルートイン岡山井原
10|秋吉台(山口県)

日本最大級のカルスト台地で、総面積は54km²(石灰岩の分布域を含めると93km²)にも及びます。「日本三大カルスト」の一つに数えられる広大な草原地帯には視界を遮る高い建物がなく、周辺の照明も少ないため開けた夜空を独り占めできます。「標高・見晴らし」の基準を満たす、西日本エリアの星空スポットとしておすすめです。
- オススメ宿①:レドンド秋吉台
- オススメ宿②:天宿の杜 桂月
よくある質問
遠征にはどのくらいの予算が必要ですか?
宿泊先や交通手段によって幅がありますが、素泊まりの温泉宿を1泊利用する場合、交通費込みで1人あたり1万5千円〜3万円程度が目安です。夕食付きのプランや連休中の宿泊では料金が上がりやすいため、早めの予約と価格比較をおすすめします。
初心者でも一人で行けますか?
はい、記事で紹介したスポットの多くは天文台や観望会が併設されており、望遠鏡の使い方や星座の見つけ方をスタッフに教えてもらえるため、機材を持っていない初心者の方や一人での参加でも楽しめます。ただし、山道や街灯の少ない場所を移動する際は、懐中電灯や防寒着を必ず用意してください。
天気が悪い場合はどうすればいいですか?
星空観測は天候に大きく左右されるため、出発直前まで現地の天気予報・雲量予報を確認することが大切です。多くの天文台では、悪天候時でも館内展示やプラネタリウム上映などを楽しめる場合があるので、予約時に雨天時のプログラムがあるか問い合わせておくと安心です。
まとめ
今回ご紹介した10か所は、いずれも「光害の少なさ」「標高・見晴らし」「天気・気候の傾向」「アクセス・宿泊のしやすさ」のいずれかで際立った特徴を持つスポットです。日帰りでは物足りないと感じたら、ぜひ現地で1泊して、満天の星空とともにゆったりとした夜を過ごしてみてください。

