皆既月食の月はなぜ赤い?|夕焼けと同じ色の光が届くワケ

皆既月食の月はなぜ赤いアイキャチ

皆既月食のとき、月は真っ暗にならず、赤黒い「赤銅(しゃくどう)色」に見えます。国立天文台によると、その理由は、夕日が赤く見えるのと同じ仕組みです。この記事では、太陽の光が地球の大気を通って月に届くまでの道すじ、月の色が毎回ちがう理由、日本で次に皆既月食が見られる日を、やさしく紹介します。

目次

皆既月食でも、月は真っ暗にならない

皆既月食でも、月は真っ暗にならない

月食は、満月のころに、月が地球の影の中を通ると起こります。影のいちばん濃い部分(本影)に月が全部入ると、皆既月食です。ところが、影に入った月は、真っ暗になって消えてしまうわけではありません。赤黒い赤銅色の月が、夜空にぼんやりと浮かびます。

それでも、なぜ「赤」なのでしょうか。「地球の夕焼けのせい」と聞いたことがある人もいるかもしれません。この記事では、その言葉がどこまで本当なのかを、順番に確かめていきます。

月食は、地球の影に月が入る現象

月食は、地球の影に月が入る現象

国立天文台によると、月食は、太陽・地球・月が一直線に並ぶ、満月のころにしか起こりません。ただし、月の通り道は、太陽の通り道に対してかたむいています。そのため、多くの満月では、月は地球の影の北側か南側を通りぬけます。満月のたびに月食が起こるわけではないのは、このためです。

月が影の一部にだけ入るときは部分月食、全部入るときが皆既月食です。皆既月食は、月がすっかり影の中にいるのに、見えなくならないところが、いちばんの見どころです。

月が赤いのは、夕焼けと同じ仕組み

月が赤いのは、夕焼けと同じ仕組み

太陽の光が地球の大気を通るとき、青い光は空気の分子にぶつかって散らばります(散乱)。そのため、青い光は大気をほとんど通りぬけられません。いっぽう、赤い光は散らばりにくく、弱まりながらも大気を通りぬけます。これは、朝日や夕日が赤く見えるのと同じ理由です。

光の色のちがいは、光の波の長さ(波長)のちがいです。波長の短い青い光ほど、空気の分子に散らばりやすい性質があります。夕方の太陽は、地平線の近くから大気をななめに長く通って届くため、散らばりにくい赤い光が多く残って、空が赤く見えます。

さらに、地球の大気はレンズのようなはたらきをして、太陽の光を曲げ、影の内側へ届けます。大気で曲げられて弱まった赤い光が月の表面を照らすので、皆既食中の月は赤黒く見えるのです。

太陽の光が地球の大気を通り、青い光は散らばり、赤い光が曲がって本影の中の月に届くようすを示した図
太陽の光が地球の大気で曲げられ、赤い光が影の中の月に届くイメージ(模式図。大きさや距離は実際とは異なります)

夕焼けが赤くなる、くわしい理由は、こちらの記事で紹介しています。

「地球の夕焼け」が月を照らしている?

「地球の夕焼け」が月を照らしている?

では、「月が赤いのは地球の夕焼けのせい」と言ってよいのでしょうか。仕組みは夕焼けと同じです。ただ、月を照らしているのは、地球の縁(ふち)をかすめて大気を通りぬけた太陽の光だと考えられます。地球のどこかで朝日や夕日として見えている光と、なかまの光が、影の中の月に届いているイメージです。

夕焼けの空そのものが、月に映っているわけではありません。「同じ仕組みで赤くなった光が、影の中の月を照らしている」と考えると、分かりやすいでしょう。

2026年3月3日の皆既月食は、こう進みました

2026年3月3日の皆既月食は、こう進みました

直近では、2026年3月3日の夜に、日本全国で皆既月食が見られました。月は東の空で欠け始め、南東の空で部分食が終わりました。国立天文台の発表では、時刻の流れは次のとおりでした。

  • 18時50分ごろ:月が欠け始める
  • 20時04分:皆既食が始まる
  • 20時34分ごろ:食の最大
  • 21時03分:皆既食が終わる
  • 22時18分ごろ:部分食が終わる

皆既月食は、約1時間続きました。この間、月は影の中にいながら、赤黒い色で夜空に残っていたことになります。

月の色や明るさは、毎回ちがう

月の色や明るさは、毎回ちがう

皆既月食の月は、いつも同じ色とは限りません。国立天文台によると、大気中のチリが少ないと、より多くの光が大気を通りぬけるため、明るいオレンジ色の月になります。チリが多いと光が減って、暗く黒っぽく見えます。

大きな火山の噴火で、火山灰やガスが成層圏(地上約15km以上の高さ)まで上がると、細かい粒が長く漂い、光をさえぎります。国立天文台は、1982年の皆既月食では月がほとんど見えず、1993年の皆既月食では月の大部分が灰色に見えた、と紹介しています。

空気の状態が、そのまま月の色になって現れる。皆既月食を見るときは、「今回はどんな色かな」と、色の違いを楽しみにするのも、おもしろい見方です。

次に日本で皆既月食が見られるのは?

次に日本で皆既月食が見られるのは?

日本全国で次に皆既月食が見られるのは、2029年1月1日。年が明けてすぐ、0時7分ごろに月が欠け始めます。

日食・月食の日付や、日本で見られるかどうかは、こちらの記事でまとめています。

よくある質問

Q. 皆既月食のとき、月は真っ暗になって見えなくなりますか?

いいえ。国立天文台によると、皆既食中の月は真っ暗にはならず、赤黒い赤銅色に見えます。ただし、大きな火山の噴火のあとなどは、月がほとんど見えなかった例もあります。

Q. 皆既月食の月は、いつも同じ色ですか?

同じではありません。大気中のチリが少ないと明るいオレンジ色に、多いと暗く黒っぽく見えます。

Q. 月食の月が赤いのは、夕焼けと関係がありますか?

関係があります。青い光が散らばって、赤い光が残るという仕組みが、夕焼けと同じです。地球の大気を通った赤い光が、影の中の月を照らしています。

まとめ:月の赤は、夕焼けと同じ仕組みで生まれる色

まとめ:月の赤は、夕焼けと同じ仕組みで生まれる色

皆既月食の月が赤黒いのは、太陽の光が地球の大気を通るときに、青い光が散らばり、赤い光だけが曲がって影の中へ届くからです。夕焼けが赤いのと同じ仕組みで、大気中のチリの量しだいで、月の色や明るさも変わります。次に日本全国で見られるのは、2029年1月1日です。それまでは、夕焼けを見かけたときに、皆既月食の月の色を、少し思い出してみてください。

皆既月食の月はなぜ赤いアイキャチ

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この記事を書いた人

はじめまして、星空ログ編集部です。「星空をもっと身近に」を合言葉に、初心者向けの望遠鏡選びといった実用的な情報から、知って得する天体雑学まで、宇宙にまつわるさまざまなコンテンツをお届けしています。日々刻々と変わる夜空の魅力を、わかりやすく丁寧にお伝えしていきます。

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