シリウスは、おおいぬ座の星で、太陽を除くと夜空でいちばん明るい星です。明るさは−1.5等で、地球から約8.6光年と、とても近い場所にあります。この記事では、シリウスがなぜそんなに明るいのか、じつは小さな相棒の星がいること、冬の夜空での見つけ方、そして昔の人がシリウスをどう見ていたかを解説します。
シリウスは、夜空でいちばん明るい星

冬の夜空で、ひときわ強く輝く星を見つけたら、それはシリウスかもしれません。シリウスは、おおいぬ座のα星(その星座でいちばん明るい星)で、冬の大三角をつくる星のひとつです1。
星の明るさは「等級」であらわし、数字が小さいほど明るい星です。国立天文台の「おもな恒星」の表では、シリウスは−1.5等で、表に載っている星のなかでいちばん明るく、2番目はカノープスの−0.7等です2。NASAも、シリウスを夜空でいちばん明るい星と説明しています3。
等級の見方は、こちらの記事でくわしく紹介しています。
なぜ、シリウスはそんなに明るいの?


理由のひとつは、地球に近いことです。シリウスまでの距離は約8.6光年で、NASAによると、知られている星系のなかで5番目に近い星系です4。1光年は、光が1年かけて進む距離。つまり、シリウスの光は、約8.6年かけて地球に届いています。
もうひとつは、星そのものの性質です。ESA(欧州宇宙機関)によると、シリウスAは、質量が太陽の約2倍、直径が約240万km、表面温度が約1万℃の、青白く輝く星です5。近くにあって、しかも質量が大きく高温の星であることが、シリウスを夜空でいちばん明るい星にしていると考えられます。


シリウスには、小さな相棒がいる


シリウスは、じつは2つの星がペアになった星です。明るく見えるほうをシリウスA、小さな相棒をシリウスBとよびます。シリウスBは、白色矮星(はくしょくわいせい)です。白色矮星とは、燃料を使い果たした星が、小さく縮んだものです6。
2つの星は、約50年かけて、おたがいのまわりを回っています7。シリウスBの明るさは、シリウスAの約1万分の1しかありません8。シリウスAがまぶしいために、地球からは観察しにくいと、ESAは説明しています9。
シリウスBは、小さいのに、とても重い星です。直径は約1万2000kmで、地球より小さいのに、質量は太陽の約98%もあります10。ESAの記事によると、重力は地球の35万倍にもなり、体重68kgの人が表面に立ったとすると、約2500万kgの重さになる計算です11。
シリウスBは、ハッブル宇宙望遠鏡でも調べられています。NASAによると、Bの光だけを取り出して、重力赤方偏移(強い重力によって光の波長がのびる現象)を測り、その結果を質量の計算に使いました12。ESAも、シリウスBの研究は、140年以上にわたって天文学者たちを悩ませてきたと紹介しています13。


シリウスは、いつ、どこに見える?


シリウスは、冬の宵の空に見える星です。国立天文台の1月の星空情報では、宵の空に、シリウスなどの星が「冬のダイヤモンド」として並んで見えると紹介されています14。
岐阜市科学館の資料によると、1月15日の午後9時ごろ、冬の大三角は南東の高い位置に見えます15。シリウスは、その冬の大三角のなかで、いちばん南寄りにある星です。
岐阜市科学館の資料では、シリウスは、プロキオン、ポルックス、カペラ、アルデバラン、リゲルとともに、6個の星で「冬のダイヤモンド(冬の大六角形)」をつくる星のひとつとされています16。
冬の大三角の見つけ方は、別の記事で紹介しています。日時や場所ごとの正確な位置は、国立天文台暦計算室の「今日のほしぞら」で確認できます。
昔の人は、シリウスをどう見ていた?


シリウスという名前は、「焼きこがすもの」という意味で、力強い光を放つことに由来します17。
日本では、「あおぼし(青星)」とも、よばれていました。国立天文台の資料には、「イカ漁は、すばるの出に始まり、あおぼしの出に終わる」という言い伝えが紹介されています18。
古代エジプトでは、シリウスが夜明け直前に昇るころが、洪水の時期の目安として使われたといわれています19。夜空でいちばん明るい星は、世界のあちこちで、暮らしの目印になってきたのです。
よくある質問
Q. シリウスは、地球にいちばん近い星なの?
NASAは、シリウスを、知られている星系のなかで5番目に近い星系と説明しています20。距離は約8.6光年です。
Q. シリウスBは、望遠鏡で見えるの?
シリウスBは、シリウスAの約1万分の1の明るさで、Aのまぶしさのために観察しにくいといわれています21。ハッブル宇宙望遠鏡では、2003年10月に、Aを写し込みながらBを写した画像が撮られています22。
Q. −1.5等って、どのくらいすごいの?
等級は、数字が小さいほど明るい星です。国立天文台の「おもな恒星」の表で、シリウスの−1.5等は、いちばん小さい数字で、いちばん明るい星として載っています23。
まとめ:シリウスは、近くて大きな星と、小さな相棒のペア


シリウスは、太陽を除くと夜空でいちばん明るい星で、地球から約8.6光年の近さにあります。明るいほうのシリウスAは、質量が太陽の約2倍の青白い星です。そのまわりを、約50年かけて、小さな白色矮星のシリウスBが回っています。
冬の夜、南東の空に、ひときわ明るい星を見つけたら、それはシリウスかもしれません。約8.6年前に出発した光が、いま、目に届いています。
- 国立天文台 暦計算室「こよみ用語解説 おもな恒星」 ↩︎
- 国立天文台 暦計算室「こよみ用語解説 おもな恒星」 ↩︎
- NASA Science「The Dog Star, Sirius, and its Tiny Companion」 ↩︎
- NASA Science「The Dog Star, Sirius, and its Tiny Companion」 ↩︎
- ESA「’Weighing’ the Dog Star’s companion」 ↩︎
- NASA Science「The Dog Star, Sirius, and its Tiny Companion」 ↩︎
- NASA Science「The Dog Star, Sirius, and its Tiny Companion」 ↩︎
- NASA Science「The Dog Star, Sirius, and its Tiny Companion」 ↩︎
- ESA「’Weighing’ the Dog Star’s companion」 ↩︎
- ESA「’Weighing’ the Dog Star’s companion」 ↩︎
- ESA「’Weighing’ the Dog Star’s companion」 ↩︎
- NASA Science「The Dog Star, Sirius, and its Tiny Companion」 ↩︎
- ESA「’Weighing’ the Dog Star’s companion」 ↩︎
- 国立天文台「東京の星空・カレンダー・惑星(2026年1月)」 ↩︎
- 岐阜市科学館 2026年1月号 ↩︎
- 岐阜市科学館 2026年1月号 ↩︎
- 岐阜市科学館 2026年1月号 ↩︎
- 国立天文台 暦計算室「暦Wiki 季節の星座」 ↩︎
- 国立天文台 暦計算室「暦Wiki 季節の星座」 ↩︎
- NASA Science「The Dog Star, Sirius, and its Tiny Companion」 ↩︎
- ESA「’Weighing’ the Dog Star’s companion」 ↩︎
- NASA Science「The Dog Star, Sirius, and its Tiny Companion」 ↩︎
- 国立天文台 暦計算室「こよみ用語解説 おもな恒星」 ↩︎












