月の1周は27日?29.5日?|2つの周期のワケ

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月が地球を1周する日数には、約27日と約29.5日という2つの数字があります。どちらも正しいのに、2日以上も違うのはなぜでしょうか。実は2つの数字は、「1周」のゴールが違うところから生まれます。では、そのゴールの違いを生んでいるものは何なのか……答えは、記事の後半で明かします。

目次

月の「1周」は、27日?それとも29.5日?

月の「1周」は、27日?それとも29.5日?

月の満ち欠けを調べていると、ふしぎな食い違いに出会います。新月から次の新月まで、満月から次の満月までは、およそ29.5日。ところが、月が地球のまわりを1周する時間(公転周期)は、およそ27日と紹介されることがあります。月が地球のまわりを1周して元の場所に戻れば、また同じ形に見えるはず……そう考えると、27日と29.5日のどちらかが間違っているように思えてきます。

結論から言うと、どちらも正しい数字です。ただし2つの数字は、「何を基準にして1周と数えるか」がちがいます。では、その基準とは何なのでしょうか。

恒星月の約27.3日と朔望月の約29.5日を棒の長さで比べ、差が約2.2日であることを示す図
27.3日と29.5日の差は、約2.2日

月の1周には「数え方」が2つある

月の1周には「数え方」が2つある

月の周期には、数え方によっていくつかの種類があります。国立天文台の暦計算室では、月の公転周期である「恒星月(こうせいげつ)」と、月の満ち欠けの周期である「朔望月(さくぼうげつ)」が区別されています。

  • 恒星月:遠くの星々(太陽以外の恒星)を目印にして、月が地球のまわりを1周する時間。長さは約27.3日(27.32日)
  • 朔望月:新月から次の新月まで、つまり満ち欠けが1周する時間。長さは平均で約29.5日(29.53日)

同じ「1周」でも、ゴールがちがいます。恒星月のゴールは「月が、遠くの星々(目印の星)に対して元の位置に戻ること」。朔望月のゴールは「月が太陽に対して元の位置に戻ること」、つまり、もう一度新月になることです。

ここでいう「星」とは、太陽以外の遠くの星のことです。あまりに遠いため、1か月ほどでは見える方向がほとんど変わらず、動かない目印として使えます。

恒星月は遠くの星を基準に、朔望月は太陽を基準に、月が元の位置に戻るまでの日数を数えることを示す図
どちらも「元の位置に戻る」までの日数

ここで、新しい疑問が生まれます。月が目印の星に対して1周したのなら、太陽に対しても元の位置に戻っているはずではないでしょうか。なぜ、2日以上も余分にかかるのでしょう。

犯人は、地球が太陽のまわりを動いていること

犯人は、地球が太陽のまわりを動いていること
新月のとき、月と太陽と目印の遠い星が、地球から見て同じ方向に並んでいる図
新月のとき。月・太陽・目印の星が、地球から見て同じ方向に並ぶ

その答えは、私たちの住む地球にあります。月が地球のまわりを回っているあいだ、地球もまた、太陽のまわりを回り続けているのです。月が遠くの星々を背景にして1周する約27.3日のあいだに、地球は太陽のまわりを約27度ほど進みます。そのため、新月のときに月と同じ方向にあった太陽は、27.3日後には、地球から見て約27度ずれた方向に動いてしまいます。

27.3日後、月は目印の星の方向に戻るが、地球が太陽のまわりを進んだため太陽の向きは約27度ずれ、まだ新月にならない図
27.3日後。月は目印の星の方向に戻るが、太陽の向きは約27度ずれる

つまり、月が目印の星に対して1周しても、新月(月が太陽と同じ方向になる状態)にはまだなりません。約27度ぶん、太陽に追いつく必要があるのです。どれくらいかかるのか、数字で確かめてみましょう。

  • 月が星に対して進む角度:1日に約13度(360度÷27.3日)
  • 地球から見た太陽の向きがずれる角度:1日に約1度(360度÷365日)
  • 差し引きで、月が太陽に近づく角度:1日に約12度

追いつくべき約27度を、1日に約12度ずつ縮めていくので、必要な日数は27度÷12度で約2.2日。27.3日に約2.2日を足すと、約29.5日になります。これが、2つの数字の差の正体です。なお、これは平均的な値をもとにした目安の計算で、実際の満ち欠けの周期は毎回少しずつ変動します。

月が1日に進む約13度と太陽の向きがずれる約1度の差から、追いつくのに約2.2日かかると計算する図
追いつくのに、さらに約2.2日かかる
さらに約2.2日後の29.5日後、月が太陽と同じ方向に追いつき、再び新月になる図
さらに約2.2日で月が太陽に追いつき、再び新月になる(合計約29.5日)

もうひとつの「27日」が教えてくれること

もうひとつの「27日」が教えてくれること

実は、恒星月の約27.3日は、月の自転周期でもあります(国立天文台)。月は約27.3日かけて地球のまわりを1周し、同じ約27.3日かけて自分でも1回転しているのです。そのため、月はいつも同じ面を地球に向けています。月のうさぎ模様がいつも同じ位置に見えるのは、このためです。

月の公転と自転がどちらも約27.3日なので、月はいつも同じ面を地球に向けていることを示す図
公転と自転の周期が同じだから

月が満ち欠けする仕組みそのものをおさらいしたい方は、→ 月はなぜ満ち欠けするの?|新月から満月までの仕組みをやさしく解説もあわせてご覧ください。

よくある質問(FAQ)

Q. 月の満ち欠けの周期は、いつも29.53日ぴったりですか?

いいえ、29.53日は平均の値です。実際の満ち欠けの周期は複雑に変動するため(国立天文台)、新月から次の新月までの日数は、毎回少しずつ違います。

Q. 「27日」と「29.5日」は、どう使い分ければいいですか?

月の満ち欠けや、お月見の日を考えるときは、新月から次の新月までの約29.5日(朔望月)が基本になります。月が星に対して何日で地球を1周するかという天文学の話では、約27.3日(恒星月)を使います。

Q. 月の周期には、ほかにも種類がありますか?

はい、あります。国立天文台の暦計算室では、月が地球にいちばん近づく点(近地点)を基準にした「近点月(約27.55日)」と、月の通り道が太陽の通り道と交わる点を基準にした「交点月(約27.21日)」も紹介されています。どれも月の公転を、何かの基準に対して測った周期です。ふだんの暮らしで目にする満ち欠けは、朔望月にあたります。

まとめ:星を基準にすれば約27.3日、太陽を基準にすれば約29.5日

まとめ:星を基準にすれば約27.3日、太陽を基準にすれば約29.5日

月の1周に2つの数字があるのは、ゴールがちがうからです。星に対して1周する恒星月は約27.3日。ところがその間に、地球も太陽のまわりを約27度進むため、月が太陽に追いつき、再び新月になるまでには、さらに約2.2日かかります。それが、満ち欠けの周期(朔望月)の約29.5日です。次に月を見上げるときは、月だけでなく、地球も一緒に動いていることを思い出してみてください。

参考:国立天文台暦計算室「暦Wiki:周期/月」、同「月の自転運動」

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この記事を書いた人

はじめまして、星空ログ編集部です。「星空をもっと身近に」を合言葉に、初心者向けの望遠鏡選びといった実用的な情報から、知って得する天体雑学まで、宇宙にまつわるさまざまなコンテンツをお届けしています。日々刻々と変わる夜空の魅力を、わかりやすく丁寧にお伝えしていきます。

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