冬の夜空で、まず探したいの星と言えば「冬の大三角」。オリオン座のベテルギウス、おおいぬ座のシリウス、こいぬ座のプロキオンという、3つの1等星を結んでできる、大きな三角形です。この記事では、3つの星の名前と位置、見つけ方、そして「同じ三角形の仲間なのに、じつは距離も色もぜんぜんちがう」という話を、図といっしょに、じっくり紹介します。
冬の大三角を作る、3つの星

国立天文台暦計算室1の「おもな恒星」の表には、冬の大三角をなす星として、次の3つが載っています。おおいぬ座のα星(その星座でいちばん明るい星)のシリウスは−1.5等、こいぬ座のα星のプロキオンは0.4等、オリオン座のα星のベテルギウスは0.0等(最も明るくなったときの値)です。

等級は、数字が小さいほど明るい星を表します。1等ちがうと、明るさはおよそ2.5倍ちがいます。この考え方で計算すると、シリウスはベテルギウスの約4倍、プロキオンの約6倍の明るさに見えます(等級の差からの計算)。3つともおなじ1等星の仲間として数えられますが、いちばん明るいシリウスは、図のとおり、頭ひとつ抜けています。
なお、ベテルギウスは、明るさが変わる星です。国立天文台の表2の0.0等は、いちばん明るくなったときの値と書かれています。シリウスは、太陽をのぞくと夜空でいちばん明るい恒星です。くわしくはシリウスの記事も、あわせてご覧ください。
名前の意味も、おもしろい


岐阜市科学館の資料3によると、シリウスという名前は「焼きこがすもの」という意味で、力強い光を放つことに由来します。プロキオンは「犬の前」という意味。おおいぬ座のシリウスより先に、東からのぼってくることから、この名前になったそうです。


「犬の前」は、いまでいう「先ぶれ」のような名前。大きな犬(おおいぬ座)の主役のシリウスが現れる前に、小さな犬(こいぬ座)のプロキオンが、先にのぼってきます。冬の夜、東の空を見ていると、まずプロキオンが顔を出し、しばらくあとにシリウスがのぼってくる様子を見ることができます。
ベテルギウスについては、岐阜市科学館の資料で、赤色超巨星(年を重ねて、とても大きくふくらんだ赤い星)と説明されています。太陽が何百個も入るほど大きい、年老いた星です。
どこに見える?見つけ方


岐阜市科学館の2026年1月号によると、1月15日の午後9時ごろ、冬の大三角は南東の高い位置に見えるとされています。見つけるときは、まず、いちばんわかりやすい星座から探すのが近道です。
1つ目の手がかりはオリオン座。ベテルギウスは、狩人オリオンの右肩にあたる位置にある、赤っぽい1等星です(JAXA宇宙情報センター4)。冬の星座の代表として、見つけやすい星座です。オリオン座の真ん中には、3つの星がならぶ「三つ星」があります。まずは、この三つ星を探してみましょう。


南を向いて立つと、ベテルギウスが右上に見えます。そこから左へ目をたどると、プロキオンが左上に、シリウスが2つの下の真ん中あたりにあります。この3つを線で結ぶと、大きな三角形になります。また、三つ星を斜め下へのばしていくと、シリウスの方向に向かいます。シリウスは、とても明るいので、見つけやすい星です。
(この位置関係の説明は、星の座標にもとづく目安です。星座早見盤などで確かめると、確実です。)
同じ三角形でも、距離はぜんぜんちがう


夜空では、3つの星は、同じくらいの距離に並んでいるように見えます。ところが、地球からの距離を見ると、大きなちがいがあります。
ESA(欧州宇宙機関)の「ヒッパルコス」の近い星の表5では、シリウスは8.60光年、プロキオンは11.4光年です。一方、ベテルギウスは、国立天文台のアルマ望遠鏡の紹介記事で、約500光年とされています。JAXA宇宙情報センターでは約640光年と書かれており、資料によって数字がちがいます。それでも、シリウスとプロキオンにくらべて、ベテルギウスが数十倍も遠いことは変わりません。


光年とは、光が1年かかって進む距離のこと。ベテルギウスから出た光は、何百年もかけて、私たちの目に届いています。三角形の3つの角は、おなじ「近さ」ではなく、ぜんぜんちがう距離にある星が、たまたま同じ方向に並んで見えているのです。三角形は、地球から見たときにだけ成り立つ、特別な形といえます。
3つの星の色にも、注目してみよう


ベテルギウスは、ぐんま天文台の資料6で「温度が低く赤い色をしています」と説明されています。同じ冬の星座のリゲルは、「温度が高く青白く輝いています」と書かれています。星の色は、表面の温度のちがいで決まります。


冬の大三角のベテルギウスを、まわりの星とくらべると、赤みがはっきりわかります。肉眼でも、色のちがいが感じられるかもしれません。双眼鏡を使うと、さらに色がわかりやすくなります。ぜひ、見くらべてみてください。
ベテルギウスは、今も注目されている


国立天文台の紹介によると、ベテルギウスは、太陽のおよそ1400倍の大きさにまでふくらんでいます。一生の終わりに近い、赤色超巨星の段階にあるとされます。
JAXA宇宙科学研究所7によると、星の終わり方は、生まれたときの重さでほぼ決まります。太陽の約10倍以上の重い星は、短い一生の最後に超新星爆発(大きな星が一生の最後に起こす大爆発)を起こします。星の大部分は吹き飛び、中心には、中性子星かブラックホールが残ります。


岐阜市科学館の資料でも、ベテルギウスは、超新星爆発の時期が注目されている星として紹介されています。ただし、いつ起きるかは、はっきり決まっているわけではありません。「いま爆発する」ということではなく、「一生の終わりに近い星」を、私たちが見ている、という風にとらえることができます。
冬の大三角のまわりに広がる、冬の星空


冬の大三角を見つけたら、そのまわりへ視線を広げてみましょう。三角形のまわりには、ほかにも明るい星がたくさんあります。たとえば、6つの1等星を結ぶ「冬の大六角」があります。シリウス、プロキオン、ポルックス、カペラ、アルデバラン、リゲルの6つです。冬の大三角のベテルギウスは、六角形の内側にあります。


くわしくは、冬の大六角の記事で紹介しています。三角形から、少しずつ見られる星を増やしていくのが、星空観察の楽しみ方ですね。
よくある質問
Q. 冬の大三角の3つの星は、すべて1等星ですか?
はい。岐阜市科学館の資料でも、シリウス、プロキオン、ベテルギウスの3つは、すべて1等星と説明されています。
Q. 3つの中で、地球にいちばん近い星はどれですか?
シリウスです。ESAの表で、シリウスは8.60光年、プロキオンは11.4光年となっています。ベテルギウスは、それよりずっと遠い星です。
Q. ベテルギウスの距離は、500光年ですか、640光年ですか?
資料によって、数字がちがいます。国立天文台は約500光年、JAXA宇宙情報センターは約640光年と書いています。どちらも、とても遠い星だということは同じです。
Q. ベテルギウスは、もうすぐ爆発するのですか?
いつ起きるかは、はっきり決まっていません。岐阜市科学館の資料では、超新星爆発の時期が注目されていると書かれています。一生の終わりに近い星ですが、「もうすぐ」と決まったわけではありません。
まとめ:冬の大三角は、距離も色もちがう3つの1等星が結ばれた三角形


冬の大三角は、オリオン座のベテルギウス、おおいぬ座のシリウス、こいぬ座のプロキオンの3つの1等星でできています。見つけるときは、まずオリオン座を目印にするのが近道です。三角形に見える3つの星は、じつは地球からの距離も、色も、星の年齢もちがいます。次に夜空を見上げるときは、「いちばん近い星と、いちばん遠い星」「赤い星と、白い星」を、ぜひ見くらべてみてください。
参考:











