2027年、うるう秒廃止へ|地球の1日がずれる天文学的な理由

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2026年10月15日、国際度量衡総会が、時刻の調整のしかたを大きく変えることを決めたと報じられました。1秒ずつ足してきた「うるう秒」は、2027年5月から事実上なくなります。この記事では、ニュースの中身と、そもそも地球の1日がなぜずれるのかを、天文の目線でやさしく解説します。

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ニュース:うるう秒は、2027年5月から使われなくなる

ニュース:うるう秒は、2027年5月から使われなくなる

報道によると、フランスで開かれた国際度量衡総会(メートル条約にもとづき、計量の国際ルールを決める会議)が、2026年10月15日(現地時間)に、時刻の調整について新しい方式を決めました。

世界共通の時刻である協定世界時(UTC)は、原子時計を使って決められています。いっぽう、地球の自転にもとづく時刻は「UT1」と呼ばれます。この2つのずれを、これまでは0.9秒以内におさえるために、うるう秒で調整してきました。今回の決定では、このずれを最大1時間(3600秒)まで許すことになり、2027年5月20日から始まる予定だと報じられています。

この新しい仕組みは、報道では「うるう時間」と呼ばれています。ただし、決議案の内容は、「ずれの上限を1時間にする」というものです。「1時間ずれたら1時間足す制度」と決まったわけではないので、注意が必要です。

うるう秒は、1972年から27回実施されてきました。最後は2017年1月1日(日本時間)で、これまで増やす向きの調整だけでした。2026年末にうるう秒が入る予定もありません。

そもそも「うるう秒」とは?

そもそも「うるう秒」とは?
画像提供:国立科学博物館

1秒は、かつて地球の自転をもとに決められていました。ところが、原子時計で正確に時間をはかれるようになると、地球の自転にはムラがあることがわかってきました。そこで、1967年からは、原子時計で1秒を決めるようになりました。国立天文台の解説では、セシウム133という原子が出す電磁波の振動数(9,192,631,770回)をもとに、1秒を決めているとされています。

すると、原子時計の時刻と、地球の自転による時刻が、少しずつずれていきます。国立天文台によると、実際の1日は、原子時計の86400秒よりも、平均して約1ミリ秒長いとされています。1日あたりはわずかですが、1年で約0.3秒、約3年で1秒のずれになります。

原子時計は同じ間かくで時をきざみ、地球の自転は少しずつ遅れたりムラがあったりするため、ずれがたまることを示した図
原子時計と地球の自転のずれ(模式図)

このずれを0.9秒以内におさえるために、世界時の6月か12月の末日の最後の秒に、1秒を足していたのが「うるう秒」です。日本は世界時より9時間進んでいるため、日本では午前8時59分の最後の秒に、「8時59分60秒」が入りました。

なぜ廃止?問題は「1秒」の扱いにくさ

なぜ廃止?問題は「1秒」の扱いにくさ

うるう秒の問題は、コンピューターや通信のしくみが、「60秒」という特別な秒を想定していないことにあります。決議案では、産業、交通、エネルギー、通信、宇宙などの分野で、うるう秒が、システムの障害をまねくおそれがあると指摘されたと報じられています。

さらに心配されているのが、「負のうるう秒」です。これは、1秒を足すのではなく、減らす調整のこと。これまでに一度も行われたことがありません。近年、地球の自転が速まる傾向があり、2035年までに負のうるう秒が必要になる確率が約30%という試算が、決議案に書かれていると報じられています。

そこで、1秒ずつの細かな調整をやめ、ずれを大きくなるまで待つ方式に変えることになりました。報道では、この方式なら、数百年のあいだ、時刻の調整が必要なくなる見込みだとされています。

これまでは原子時計と自転のずれを0.9秒以内に保つためうるう秒で調整し、2027年5月20日からはずれを最大1時間まで許す方式に変わることを比べた図
うるう秒の方式と、新しい方式の比較(模式図・報道による)

天文の話:地球の1日は、なぜずれる?

天文の話:地球の1日は、なぜずれる?

ここからは、天文の話です。地球の1日がずれる大きな理由は、月の「潮汐(ちょうせき=潮の満ち引き)」にあります。国立天文台によると、月の潮汐力で地球は少し引きのばされ、その変形には摩擦がともないます。そのため、エネルギーが失われ、長い目で見ると地球の自転は遅くなっていきます。

自転が遅くなると、1日の長さは長くなります。その変化は、100年で約2ミリ秒の速さだと説明されています。また、その反作用で、月は1年に約3.8cmずつ地球から遠ざかっています。過去にさかのぼると、1日は短かったことになり、数億年前は1年が約400日だったといわれています。

ただし、地球の自転は、単純に遅くなり続けているわけではありません。国立天文台によると、大気の動きの影響で、夏は速く冬は遅くなる季節の変化があります。さらに、地球の内核の自転や、氷河がとけて減ることなど、さまざまな要因による不規則な変化もあります。

そして、近年は、自転が速まる傾向にあると説明されています。2024年7月5日は、1日の長さが1.6ミリ秒以上短くなりました。このように自転が速まると、足すのではなく減らす「負のうるう秒」が必要になるかもしれない、というのが心配されている点です。

「1時間まで待つ」と、暮らしはどうなる?

「1時間まで待つ」と、暮らしはどうなる?

すぐに、私たちの時計が変わるわけではありません。2027年5月以降も、スマートフォンや時計の表示は、いつもどおりです。変わるのは、世界共通の時刻と、地球の自転による時刻のずれを、「1秒ずつは直さない」という点です。

理屈の上では、ずれが長い年月でたまって1時間に近づけば、太陽が真南にくる時刻と、時計の正午が、1時間ほど離れることになります。ただし、その状態になるのは、数百年先の話と考えられています。

1時間のずれと聞くと大きく感じますが、世界には、時計を1時間動かす暮らしがすでにあります。アメリカやヨーロッパの多くの地域では、夏のあいだだけ時計を1時間進める「サマータイム(夏時間)」が、毎年のこととして行われています。日本ではなじみが薄いものの、太陽と時計の1時間のずれを暮らしの工夫で受け入れている国は、少なくありません。

サマータイムは季節ごとに切り替えるもので、うるう秒をやめたあとのずれとは仕組みが違います。それでも、時計と太陽のずれは、社会が調整しながら付き合っていけるもの、という見方はできそうです。将来そのずれをどう扱うかは、これから考えていく課題です。

よくある質問

Q. うるう秒は、いつからなくなりますか?

報道によると、2027年5月20日から、新しい方式に変わる予定です。それまでに入るうるう秒の予定はありません。2026年末の分も、入らないと発表されています。

Q. 時計が1時間ずれるのですか?

いいえ。すぐに時計がずれるわけではありません。世界共通の時刻(UTC)と、地球の自転による時刻(UT1)のずれを、最大1時間まで許す、という決まりです。数百年は、調整が必要にならない見込みと報じられています。

Q. 1秒の長さが変わるのですか?

1秒の長さは変わりません。1秒は、原子時計で決められています。変わるのは、原子時計の時刻と、地球の自転とのずれを、どう扱うかという点です。

Q. 「うるう時間」は、1時間をたす制度ですか?

決議案には「うるう時間」という言葉は使われておらず、中身は「ずれの上限を1時間にする」というものです。「うるう時間」は、報道での呼び名と考えられます。

まとめ:うるう秒は終わり、地球の自転とのずれを「待つ」時代へ

「1時間まで待つ」と、暮らしはどうなる?

2027年5月から、1秒ずつ足すうるう秒は使われなくなり、原子時計の時刻と地球の自転のずれは、最大1時間まで許されます。1日がずれるのは、月の潮汐が地球の自転にブレーキをかけ、さらに季節や氷河などでムラがあるためです。時計の針はいつもどおりでも、その裏には、地球の回り方の小さな変化があります。

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この記事を書いた人

はじめまして、星空ログ編集部です。「星空をもっと身近に」を合言葉に、初心者向けの望遠鏡選びといった実用的な情報から、知って得する天体雑学まで、宇宙にまつわるさまざまなコンテンツをお届けしています。日々刻々と変わる夜空の魅力を、わかりやすく丁寧にお伝えしていきます。

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