夜空から月が姿を消す日、それが新月です。ただし月が消えるわけではなく、月は昼の空で太陽のすぐそばにいて、見えなくなっているだけです。
新月の日、月はどこにいるの?
新月のとき、月は地球から見て太陽とほぼ同じ方向にあります。月は太陽と一緒に朝に昇り、夕方に沈みます。昼間の空にはいますが、太陽の強い光にまぎれて見えません。しかも、太陽の光が当たっているのは地球から見て裏側の面なので、夜になっても月の姿は空にありません。
たとえるなら、懐中電灯を持った人が、自分の真後ろから照らしている状態です。照らされた面は向こうを向いていて、こちらからは暗い面しか見えないのです。
新月はいつ?「朔(さく)」と月齢のしくみ
天文学では、太陽と月が同じ方向に並ぶ瞬間を「朔(さく)」と呼びます。国立天文台の暦では、朔は太陽と月の黄経(天球上での位置を表す角度)が等しくなる瞬間と定められています。新月の日は、この朔を含む日として扱われることが多いです。
新月から次の新月までの周期(朔望月)は、平均で約29.53日です。月の満ち欠けの日数を表す「月齢」は、直前の朔からの経過日数を表したものなので、朔の瞬間が月齢0にあたります。周期が30日ぴったりではないため、新月の日付は毎月少しずつずれていきます。
旧暦では、朔を含む日を月の始まり(1日)としていました。「ついたち」という言葉は、月が立つ「月立ち」が変化したものといわれています。
新月の前後に見える細い月と「地球照」
新月の翌日から数日は、日没後の西の低い空に、細い月(三日月)が見えることがあります。地平線近くにあるうえに明るさも控えめなので、空が開けた場所で、日没直後を狙うと見つけやすくなります。
細い月のとき、月の暗い部分がうっすらと見えることがあります。これは「地球照」と呼ばれる現象で、地球で反射した太陽の光が月の暗い面を照らしているためです。月から見ると、地球は満月のような状態に見えています。
新月の夜が星空観察に向く理由と、観察のコツ
新月の前後は夜空に月明かりがないので、淡い天体が見やすくなります。天の川、星雲や星団、流星群の暗い流れ星は、月が明るいと見えにくくなるため、これらを狙うなら新月前後が最適です。
観察のコツは次のとおりです。
- 街明かりの少ない場所を選ぶ(新月でも街灯りの影響は残ります)
- 到着してから15分ほど目を暗さに慣らす
- 明るいスマートフォンの画面を見ない(赤いライトを使うと暗さに慣れた目を保ちやすい)
- 新月の前後数日は、細い月が早い時間に沈むので、月が沈んだあとの時間帯を選ぶ
新月の夜そのものは月が夜空に出ないため、いちばん条件が良い夜です。
新月についてのよくある疑問
Q. 新月の日に日食は起こりますか?
日食は新月のときにしか起こりませんが、新月のたびに起こるわけではありません。月の通り道が太陽の通り道に対して少し傾いているため、太陽・月・地球が一直線に並ぶ新月は限られます。
Q. 新月と朔は同じですか?
どちらも太陽と月が同じ方向に並ぶことを指します。朔は「その瞬間」を指す天文用語で、新月は日常ではその日全体を指して使われることも多い言葉です。
Q. 新月の夜は本当に真っ暗ですか?
月明かりはありませんが、星明かりや街の光、空の大気の淡い光(夜光)があるため、完全な暗闇にはなりません。

