「ZHR 100」と聞いて、流星が1時間に100個見られると思ったら、実際は少なかった。そんな経験があるなら、その差の理由がZHRの考え方にあります。
ZHRとは? ― 燃費のカタログ値のようなもの
ZHR(Zenithal Hourly Rate、天頂出現数)は、流星群の活発さを表す共通のものさしです。次の理想的な条件で、1人の観測者が1時間に見られる流星の数を表します。
- 流星群の放射点が天頂(真上)にある
- 肉眼で6.5等の星まで見えるくらい空が暗い
- 空が開けていて、雲がない
自動車のカタログに書かれた燃費(理想的な条件での値)と、実際の燃費が違うのと同じように、ZHRは理想条件での値なので、実際に見える数はこれより少なくなるのが普通です。
なぜ「共通のものさし」が必要なのか
流星の見える数は、観測する人の場所や空の暗さ、月明かり、その日の放射点の高さで大きく変わります。「A地点で30個、B地点で10個見えた」と報告されても、そのままでは流星群そのものの活発さを比べられません。
そこで国際流星機構(IMO)などが、観測者ごとの限界等級(肉眼で見える最も暗い星の明るさ)や、放射点の高さ、雲などで視野がさえぎられた割合から、理想条件に換算した値を求めます。この換算値がZHRで、流星群どうしや年ごとの比較ができます。
実際に見える数を左右する3つの条件
ZHRの数字を見るときは、次の3つで見える数が大きく変わることを覚えておくと便利です。
- 放射点の高さ:放射点が地平線近くにあると、見える流星は少なくなります。夜のうち、放射点が高く昇る時間帯が狙い目です。
- 空の暗さ:街明かりや月明かりがあると、暗い流星が見えなくなります。新月前後の年や、月が沈んだ後の時間帯は有利です。
- 観測時間帯:極大(ピーク)の時刻が日本の夜にあたるかどうかで、見え方が変わります。
ZHRを観察計画に生かすコツ
ZHRは、観察する流星群を選ぶ目安として便利です。同じ年に複数の流星群がある場合、ZHRの大きい流星群は多くの流星が期待できます。ただし、数字だけで決めず、その年の月明かりと極大時刻もあわせて確認しましょう。
観察の際は、できるだけ暗い場所で、空を広く見渡します。放射点を直接見る必要はありません。レジャーシートに寝転ぶと首が疲れにくく、視野も広がります。目を暗さに慣らすため、15分ほどは空を見て過ごしましょう。
ZHRについてのよくある疑問
Q. ZHRが大きい流星群のほうが、必ず多く見えますか?
必ずしもそうとは限りません。ZHRは理想条件での値なので、月明かりが強い年や極大が昼間にあたる年には、ZHRが小さい流星群のほうが多く見えることもあります。
Q. ZHRは毎年同じですか?
流星群のもとになる塵の帯の濃さによって、年ごとに変わります。そのため、同じ流星群でも「当たり年」と「ふつうの年」があります。
Q. 「限界等級6.5等」ってどれくらい暗いのですか?
肉眼で見える限界に近い暗さです。都市部では3〜4等星くらいまでしか見えないことが多いため、ZHRの前提になる空は、とても暗い場所を想定した値だと考えてください。

