夜空を見上げると、ひときわ明るく光る星に気づくことがあります。実はその星、多くの場合「惑星」です。ではなぜ「惑星」という名前が付いているのでしょうか。今回は、その名前の由来と、意外と知られていない「惑星」の正式な定義について、じっくりご紹介します。
「動かない星」と「動く星」

大昔の人々は、毎晩のように夜空を眺め、星の位置を記録していました。そうするうちに、ほとんどの星は互いの位置関係を変えないまま夜空を移動していく(地球の自転や公転によって、見かけ上動いているだけ)のに対し、いくつかの星だけは、他の星々(背景の星座)に対して独自に位置を変えていくことに気づいたのです。
この他の星に対して動いて見える星が、水星・金星・火星・木星・土星の5つです。この5つは肉眼でも観察でき、望遠鏡がなかった時代から、その不規則な動きが人々の注目を集めてきました。
「惑わす星」=「惑星」

この「さまよう」ような動きから、「惑わす星」=「惑星」という名前が付けられました。
語源をたどると、古代ギリシャ語の「プラネテス(planetes)」という言葉に行き着きます。これは「さまよう者(放浪者)」という意味で、古代ギリシャの人々は、規則正しく動く星(恒星)に対して、不規則に動くように見えるこれらの星を「さまよう者」と呼びました。英語の「planet(惑星)」も、このギリシャ語が語源です。
日本語の「惑星」という漢字表記も、「惑わす」という字が当てられており、ギリシャ語の「さまよう者」とほぼ同じ発想で名付けられたことがわかります。
「恒星」「惑星」「衛星」の違い
ここで、紛らわしい3つの用語を整理しておきましょう。
- 恒星(こうせい):自ら光を放つ星のこと。太陽が代表例です。
- 惑星(わくせい):恒星の周りを回る星のこと。地球や火星などが当てはまります。
- 衛星(えいせい):惑星の周りを回る星のこと。地球の周りを回る月が代表例です。
つまり、太陽が恒星、地球が惑星、月が衛星にあたります。同じように、木星の周りにもガニメデやエウロパといった衛星が数多く存在しています。

2006年、「惑星」の定義が変わった
普段何気なく使っている「惑星」という言葉ですが、実はその定義は2006年に大きく変わりました。国際天文学連合(IAU:世界中の天文学者が参加する国際組織で、天体の名称や分類の基準を定めています)が、「惑星」と呼ぶための3つの条件を新たに定めたのです。
1つ目は、太陽の周りを回っていること。2つ目は、自分自身の重力によって、ほぼ球形の形を保てるだけの質量があること。3つ目は、その天体の軌道の周辺から、他の天体を掃き散らしている(軌道上を支配できるほどの重力を持っている)ことです。
この3つ目の条件がポイントです。太陽系の外側、海王星より遠くには「エッジワース・カイパーベルト」と呼ばれる、小さな天体が数多く集まる領域があります。冥王星は、この領域にある無数の天体の一つに過ぎず、自分の軌道周辺を掃き散らせるほどの重力を持っていないことがわかりました。
そのため2006年、それまで惑星とされていた冥王星は、3つ目の条件を満たさないという理由で「準惑星(じゅんわくせい)」という新しいカテゴリーに分類し直されることになったのです。準惑星には、冥王星のほかにエリス、ケレス、ハウメア、マケマケなどが含まれています。

まとめ:惑わす星、その語源はギリシャ語のさまよう者から
普段何気なく使っている「惑星」という言葉には、古代の人々が夜空を見上げて感じた「不思議な動き」への驚きと、現代の天文学者による厳密な定義の両方が詰まっています。
- 「惑星」の名前の由来は、ギリシャ語の「さまよう者(プラネテス)」
- 恒星は自ら光る星、惑星は恒星の周りを回る星、衛星は惑星の周りを回る星
- 2006年からは「軌道上を支配できる重力を持つこと」が惑星の条件の一つに
次に夜空を見上げるときは、ぜひこの由来を思い出してみてください。きっと、いつもと違う気持ちで星空を眺められるはずです。

